ハルカのつれづれ日記

日々のちょっとした出来事、興味をもったことなど、気ままに綴る日記です

バチカン奇跡調査官7  天使と悪魔のゲーム

バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。

天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。

バチカン奇跡調査官シリーズの第7作である『天使と悪魔のゲーム』はシリーズ初の短編集で、ロベルト、ローレン、サウロ大司教、ジュリア司祭のサイドストーリーとなっています。短編とはいえ粒ぞろいの名作で、彼らの知られざる側面を知ることで、より本編を楽しむことができると思います。

(以下、若干のネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)

 

 

 

【日だまりのある所】 

若き日のロベルトの物語。心を閉ざし、周囲の世界を拒否していたロベルトと、そのロベルトの心を少しずつ解きほぐし、読書の楽しさと知識を得ることの喜びを教えてくれた上級生ヨゼフの交流のお話です。

ヨゼフの死後ロベルトが受け取る愛に満ちたメッセージは感涙もの。

ラストではロベルトと平賀の出会いも描かれ、二人のファンにはたまらない作品です。

※ヨゼフの本については後に平賀の弟良太のお話でも登場します。

 

 

【天使と悪魔のゲーム】

 稀代の天才でありながら人間的な感情に乏しく、十五歳にして危険なテロリストかつハッカーとしてバチカンの虜囚となったローレン・ディルーカと平賀の出会いの物語。

ローレンから彼の教誨師に指名された平賀はローレンにあるゲームを提案する。「天使と悪魔のゲーム」と題されたそのゲームは、囲碁を応用した七目並べのゲーム、ただし、最後まで行くと最初につながるというもの。

ゲームの対戦をしながら、平賀はローレンに、悪魔から千の願いがかなうという祝福(呪い?)を授かった人物の数奇な半生について物語るのだった。

天使と悪魔の両方をその心のうちに内包する少年ローレン。本編では青年となったローレンのバチカンからの脱走が語られています。彼の今後の動向がとても気になりますね。

 

 

【サウロ、闇を祓う手】

 バチカンでも英雄的なエクソシストとして有名なサウロ大司教(第6巻ではアメリカでも勇名をはせていることが判明しましたね)だが、彼も始めから信念の人ではなかった。

貧しい少年時代からザカリア司祭に見出され、エクソシストとして独り立ちするまでの彼の人生をたどる物語。

ザカリア司祭の広く暖かい心に触れ、悪魔との死闘を潜り抜けながら成長していく若き日のサウロ。淡い初恋と失恋も描かれ、これまで平賀とロベルトに奇跡調査を命じる上司、というだけの認識だった大司教が、ぐっと人間的な身近な存在に感じられるようになりました。

エクソシスト養成講座の講師でもあるサウロ大司教はロベルトを後継者として育てようとしているようです。ロベルトがどのようにエクソシストとして大成していくのかも今後のたのしみですね。

 

 

 ファンダンゴ

 

 恵まれた環境をいいことに、悪行の限りを尽くすジョナサン・ウイルセイントは昔から彼に影のようにつきまとう仮面の男の存在に怯えていた。

ついにはその影の男が自分に取って代わっている姿を目撃し、自我崩壊から精神退行を起こしてしまう。

ジュリア司祭と彼の兄第の話です。ジュリア司祭はナンバー・シックスと呼ばれていたので、少なくとも彼と同等の兄弟があと5人はいることになりますね。どうやら何らかの遺伝子操作で誕生しているようです。

ちなみに、ジョナサン・ウイイルセントはナンバー・ワンと呼ばれていたので、最初に誕生した個体なのかもしれません。最後に彼はジュリア司祭の替え玉としてともにアフリカに向かうことから、第2巻につながる話と思われます。

 

 

 


 

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