バチカン奇跡調査官13 ソロモンの末裔
バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。
天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。
バチカン奇跡調査官シリーズの第13作である『ソロモンの末裔』は、奇跡調査のためエチオピアに向かった神父コンビが、究極のサバイバル体験をするストーリー。ソロモン王とシェバの女王、契約の箱、など映画でおなじみのモチーフが登場し、いつものデスクワークとは違う冒険譚風のストーリー展開となっています。
(以下、若干のネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)
今回の奇跡調査はエチオピア。ソロモン王とシェバの女王との間の子がエルサレム神殿からエチオピアへ持ち帰ったとされる契約の箱のレプリカの一つ(タボット)に現れた奇跡を調べることに。
現地に着く早々、今回の奇跡調査の主要人物の一人であるマヌエル氏の行方が分からなくなり、ちょっとした謎解きが楽しめます。
探し出したマヌエル氏から今回の奇跡を起こしたタボットがオリジナルのタボットで、それを守る聖職者とその弟が教会から持ち出して行方不明となっていることを知らされます。
今回は奇跡調査よりもタボット追跡の旅がメインで描かれます。
また、タボットを安置すべき復興されたソロモン神殿への入り口『栄光の門』を守るシェバの末裔の一族と出会い、一族の女王から想像を絶する過酷な試練を課されることにーーー
今回、平賀、ロベルト、マヌエルの三人は砂漠の只中に放り出され、自力で生還することを求められます。
こんな状況でも冷静沈着な平賀はさすがといったところです。
ところで、この砂漠でのサバイバル劇を読んでいて思い出したのが、
浦澤直樹先生の『マスターキートン』の『砂漠のカーリマン』
お小水を蒸留して水を作るシーンなど、髣髴とさせるものがありました。
(第1巻Chapter6です。)
|
やがて栄光の門を通りたどり着いた神殿で、シェバの民が使役していたジン(精霊)の正体なども明かされます。
そういえば、ヘロンの自動ドアの仕組みは第3巻『闇の黄金』でも出てきましたね。
謎解きの過程で、平賀たちバチカンの司祭と、現地の司祭、過激派のメンバー、神殿研究会の諜報員らが対立しながらも次第にまとまっていきます。
そのキーとなるのはやっぱり何があってもブレない平賀。
彼の存在にほっとさせられ笑みを浮かべてしまう自分がいます。
なお、ラストで平賀はロ-レンからドローンを使ってのメッセージを受け取ります。とりあえずローレンが無事そうでよかった。
また、冒頭に登場したエフライム氏とジュリア司祭がまたぞろ悪巧みを画策しています。この辺のストーリーは思わせぶりが多い割に遅々として進まないですね。
次で何か動きがあるでしょうか。
電子書籍版:
|
関連記事: