バチカン奇跡調査官3 闇の黄金
バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。
天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。
バチカン奇跡調査官シリーズの第3作である『闇の黄金』では、イタリア・トスカーナ地方の教会を舞台に、角笛と虹色の光の謎に挑みます。
(以下、ネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)
冒頭、首切り道化師の伝説のある村で、撮影クルーの4人の若者が首切り道化師に襲われるシーンがあります。4人の中心的存在のカルロが襲われる場面はかなりホラー色が強くて、結構怖いです。
一方、平賀とロベルトはまだら模様の道化師のイラストと9桁の数字の雑誌広告について話し合っているところにサウロ大司教から呼び出しを受けて、トスカーナ地方のモンテ村にあるセント・エルギウス教会へ奇跡調査の再調査に向かうことに。
毎日朝のミサの時間になると、どこからともなく 角笛が鳴り響き虹色の光で満たされ、キリスト像が生きているかのような色に変化するが、記録映像には映っていない、という奇跡。しかもその教会のトロネス司祭は奇跡の申請に反対しているらしい。
早速奇跡を体験する二人だが、二人が見た奇跡の光の広がり方は少し違っていた。
教会内で発見されたアルビノの少年の死体や、トロネス神父の失踪など、不可解な事件が続き、平賀とロベルトはサスキンス捜査官らとともに、民謡の歌詞を頼りにかつて首切り道化師の現れた森の捜査に赴く・・・
これまではどちらかというと座学的な謎解きがメインでしたが、今作の民謡の歌詞の謎を解きながら森を探索しつつ敵の牙城に飛び込んでいくくだりは、冒険ものの映画を見ているようで楽しかったです。
科学的捜査には天才的な冴えを見せるのに、男女の機微となるとからっきしの平賀と、そんな彼を暖かく見守るロベルトのコンビにも思わずクスリとさせられました。
そして、やっぱりというべきか、ラスボスはあの方でした。
ガルドゥネという組織は想像以上に根が深く大掛かりなもののようですね。当面は二人の神父対ガルドゥネの構図が続きそうです。
それにしても、首切り道化師事件の顛末では、ドメニカが哀れでなりませんでした。アントーニオひどすぎ・・・。しかも聖職についた後も悪のお先棒担ぎ。彼の最後はまさに自業自得でしたね。
3巻の表紙はジュリア司祭。本当に秀麗な容姿ですね。ゴールドがとてもお似合いです。
電子書籍版:
コミック版も出ているようですが、中古のみのようです。
関連記事: