ハルカのつれづれ日記

日々のちょっとした出来事、興味をもったことなど、気ままに綴る日記です

バチカン奇跡調査官8  終末の聖母

バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。

天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。

バチカン奇跡調査官シリーズの第8作である『終末の聖母』は、サウロ大司教とカサレス枢機卿の代理でメキシコに赴いた平賀とロベルトが、グアダルーペ寺院で起きた空中に浮かぶ十字架と、瞬時に出現した『神の道』の奇跡調査にはからずも乗り出すストーリーです。

また、今作からローレンの後任、チャンドラ・シン博士が登場しています。

(以下、若干のネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)

 

 

 

ローマ法王の突然の辞任。その後任選びのコンクラーヴェの期間、法王に代わる権限を持つカメルレンゴに選ばれたのはサウロ大司教だった。

サウロ大司教とメキシコ出身のカサレス枢機卿の代理としてグアダルーペ寺院での記念式典に出席することになった平賀とロベルト。

式典の最中地震が起こったと思うと、彫刻の十字架が浮き上がり空中に静止し、美しい音色が聞こえてきた。

さらに外では、町を南北に貫いて一直線に溝状の陥没が起きていた。

次期法王候補であるカサレス枢機卿の故郷での出来事に、法王選挙への影響を危惧したサウロ大司教の依頼で、二人はこの『奇跡』が作為により演出されたものであるかどうかを調べることとなる。

 

『サンタ・ムエルテ』というカルト集団や、『暁の梟』なる過激派グループの存在が見え隠れするなか、聖歌隊の少年の連続殺人事件や遺物と重機の盗難事件が発生。

マヤ・アステカの古来の文化とキリスト教伝播以降の西洋の文化が複雑に交じり合ったメキシコの地で平賀が導き出した奇跡の正体は驚くべきものでした。

すべては鉄のため・・・だったんですね。ミトコンドリアとアステカの神話の見事なマッチングはさすが平賀、という感じです。突拍子もない話に思えても、平賀の口から語られると、そういうこともありそうと思えてしまうところがミソですね。

 

それにしても作者のキリスト教に対する造詣の深さには本当に驚かされます。

そもそもキリスト教世界宗教として広まっていく過程で、様々な土着の宗教の神々や教義を取り込みながら発展していった、ということは耳にしたことがありますが、包含されていく土着の宗教を信奉する人々の苦悩まで描かれていて、太陽の光にあふれた中南米の世界の別の一面が垣間見えた気がします。

 

なお、この巻から登場するシン博士。博識で有能、仕事は速いが杓子定規で融通がきかない。そして子供達の死に大変なショックを受ける繊細さもあわせもつ博士は、なぜか前任者ローレンに異常なまでの対抗意識をもっていて、最後には彼を追っていることが明らかになります。シン博士とローレンの間になにがあったのでしょうか。

そして、ローレンから平賀にメールがあったことから、ローレンはいまでもひっそりと平賀を見守っていることが伺えます。ローレンの失踪の理由もとても気になりますね。次巻でどこまで語られるのか、大変気になるところです。

 

 

 

 

 

 

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