ハルカのつれづれ日記

日々のちょっとした出来事、興味をもったことなど、気ままに綴る日記です

バチカン奇跡調査官10  原罪なき使徒たち

バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。

天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。

バチカン奇跡調査官シリーズの第10作である『原罪なき使徒たち』は、日本を舞台に、隠れキリシタンの秘宝の謎にいどみます。ロベルトが有名なロザリオの謎の解明に大活躍、暗号解読のエキスパートの面目躍如。また、そのロベルトを救出するために平賀が奔走します。

(以下、若干のネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)

 

 

 

若き海洋冒険家のロビンソン・ベイカーがヨットで日本に向かう途中遭難し、無人島の岸壁に浮かび上がった輝くキリスト像と海岸を歩く天使の姿を目撃する。時を同じくして同じ無人島に真夏にも関わらず大雪が降り、上空に巨大な十字架が浮かんで消える、という現象が目撃される。

日本での奇跡調査ということで、平賀とロベルトが調査官に選ばれるが、平賀は実はさほど日本に詳しいわけではなく、多少の不安を抱えつつ現地へと向かうことに。

 

現地の天草は隠れキリシタンの信仰が色濃く残り、さらに日本古来の妖怪・油すましの出没の噂も聞こえてくる。

調査の過程で隠れキリシタンの隠れ里の人々と知り合った二人は、「裏神事」という不思議な儀式にも参加することになる。

やがて、里の巫女・沙良の父が全身に高温の油を浴びた姿で遺体となって発見され、平賀たちの宿舎の民宿の娘結子が行方不明になるという事件が発生する。

結子を助けるため、地下神殿の暗号を解読していくロベルト、そのロベルトを救出するため必死になる平賀・・・

それにしてもシン博士の弱点が犬とは。人間には取り付く島もない博士も動物には優しいんですよね。博士のイメージがどんどん変わっていく感じです。

 

 

隠れキリシタンは厳しい迫害に耐え信仰を守り続けたが、そのため本来のキリスト教の協議からかけ離れてしまったのは、なんともやりきれない気持ちになります。

また、植民地支配のため感染症を利用したスペイン・ポルトガルに対しては怒りすら感じてしまいます。

本当に強い信仰心から布教のため新世界に渡った宣教師たちも大勢いたことと思いますが、天草の民の苦難を思うと、忸怩たる思いを禁じえません。

 

作者の創作かもしれませんが、百二十年に一度の「裏神事」の荘厳さには心を打たれました。

そして結子の入信のミサのシーンにも。

 

原罪の無い使徒たちは東の果てで育まれていた・・・ラストの美しいオラショの合唱とともに、明日への希望に満ちたやさしいエンディングになっています。

 

今回はジュリア司祭やサスキンス捜査官、ローレンは登場せず、奇跡調査と天草のキリシタン伝説、日本の妖怪伝説がメインの展開でした。

今回のラスボスたちも姿を消してしまいました。もしかしたら彼らの裏にもガルドゥネなどの秘密組織が蠢いているのかもしれません。彼らもまた再登場必至かもしれません。

 

 

 

 

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