バチカン奇跡調査官14 楽園の十字架
バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。
天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。
バチカン奇跡調査官シリーズの第14作である『楽園の十字架』では、カリブ海クルーズの船上で目撃された十字架の奇跡の謎に二人が挑みます。途中、思いがけない人物がサプライズ登場するおたのしみあり。
(以下、若干のネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)
今回平賀とロベルトはハイチ出身の枢機卿の代理として、ハイチ地震で倒壊したノートルダム教会の復興式典に出席するため、ハイチに向かう。
その後、サウロ大司教からの至上命令により、半強制的に有給休暇をとることに。
ハイチで知り合ったルッジェリ氏の勧めで氏の経営する会社の所有の豪華客船エクセシオール号でマイアミへの船旅を楽しむことになる。
乗船早々、海が割れて巨大な十字架が出現するという奇跡を目撃する二人。
早速奇跡調査を開始する二人だが、ヴードゥ教の司祭(ウンガン)が関係していると思われる殺人事件が発生する。
乗り合わせたCIAのカルロス捜査官とともに捜査に乗り出す二人。
決して裕福とは思えないハイチの人々が十数人乗り合わせていることに違和感をいだく。
船上では仮面舞踏会が開かれ、平賀とロベルトも仮装して参加するなど豪華な船旅が続く一方で、乗客の女性が錯乱して焼死するなど悲惨な事件もおきてしまう。
また、船が原因不明の操作不能に陥ったり、テロリストによる爆破予告があったりと不穏な出来事が連発してしまい、この二人の休暇は本当に波乱含み。
バハマでは有名なラスベガスのイリュージョニストのマジックショーが開かれるが、どんなマジックもタネを看破してしまう平賀はやっぱりいつもの平賀でした。
このショーの最中、舞台に上がるカルロス捜査官。舞台上で観客の医師が彼の死を確認するも、その後変わりない姿で再登場し、平賀たちと言葉を交わすことなく先に帰船してしまうという事件も発生する。
結局奇跡は科学的に解明され、殺人事件もダイヤモンドの密輸がらみのものであったことが判明。
二人の休暇は終わりを告げるのですが、ラスト、マジシャンの正体が明らかになります。
そして仮面舞踏会で平賀をダンスに誘った女性の正体も・・・
この辺は読者サービスかな。
奇跡調査も回が進むにつれ少しマンネリ化してきた感じがしました。
ジュリア司祭との因縁もそろそろ一区切りしてもいいのではないかと思いました。
また、サスキンス捜査官のようにレギュラーになるのかと思われたカルロス捜査官は一話限りの登場となってしまったようです。残念。
平賀たちの味方が増えてくれるといいのですが。
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