ハルカのつれづれ日記

日々のちょっとした出来事、興味をもったことなど、気ままに綴る日記です

バチカン奇跡調査官11 独房の探偵

バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。

天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。

バチカン奇跡調査官シリーズの第11作である『独房の探偵』は、シリーズ2巻目の短編集で、平賀の弟・良太の不思議な体験、サウロ大司教と法王の会話、平賀とロベルトの魔女のレシピ再現、独房の虜囚ローレンが快事件を解決する話が収録されています。

(以下、若干のネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)

 

 

 

 

シンフォニア 天使の囁き】  

 

平賀の弟・良太は幼いころからベールを被った不思議な三人の男の姿を目にすることで、人の死を知ることができた。

骨肉腫を患い、バーデンの病院に入院した良太はある日、GBというイニシャルの入った日記を偶然手にする。そこにはかつて良太と同じ病に犯され亡くなった少年から、友人にあてた愛にあふれたメッセージが記されていた・・・

良太と謎の三人の男のホラーっぽい話かと思いきや、実は先の短編集『天使と悪魔のゲーム』の『日だまりのある所』の続編ともなっている話です。

また、瀕死の良太を救ったのはあのジュリア司祭。平賀に貸しを作りたいということなのか、彼の真意がどこにあるのか分からないだけに不気味です。

ところでGBというイニシャルですが、なぜGなのかと思ったのですが、ヨゼフはイタリア語ではジュゼッペ(Giuseppe)となるようなので、そこからかなと思いますがどうでしょう。

なお、文中に、サクラメントの花の逸話がでてきます。アニメのED『サクラメント』はここから来たのですね。

 

 

 

【ペテロの椅子、天国の鍵】  

 

バチカンを揺るがす数々のスキャンダルに心を痛める法王から唯一信頼できる者として悩みを打ち明けられたサウロ大司教は、世界を影で操ってきた恐るべき存在について法王に語る。そしてそれらに打ち勝つ愛と信仰の力について。

法王が突然辞任し、サウロ大司教がカメルレンゴに選ばれる、第9巻『終末の聖母』の直前の物語。

ヒトラーとトゥーレ協会、在位三十数日でのヨハネパウロ1世の急死、ヨハネパウロ2世の活躍とその死など、数々の事実を織り交ぜながら語られるヨーロッパの歴史と現在の姿に、どこまでがフィクションなのか空寒い思いを抱かせられる作品です。

 

 ※トゥーレ協会といえば、鋼の錬金術師の映画版を思い出しました。原作版とは大分コンセプトが違っていましたが・・・

 

映画版:『シャンバラを征く者

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漫画版:今は全館セットが出ていますね。  

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 【魔女のスープ】

 

ロベルトが取り組んでいる禁忌文書に記載された、魔女ベッラ・バッキ考案の『不老長寿のスープ』

美食家でもあるからか、ロベルトはそのレシピを再現しようと試みる。

ロベルトが探し出した件の魔女のかつての住居には魔女の紛争をした小説家エリーナ・カンパーナが住んでいて、お互いに協力し合ってレシピを再現することになる。

レシピに記された得体の知れない材料集めに平賀も加わり、完成した魔女のスープの実体は・・・

材料を聞いただけでお腹を壊しそうな代物である魔女のスープ。これを飲める勇気ある三人には脱帽するしかありません。いくら加熱処理してあるといってもね・・・

平賀の、何事に対しても几帳面で生真面目な性格やローレンへの対抗意識の一端もうかがえるエピソードです。

なお、本作品のアニメは第17巻『ジェヴォーダンの鐘』にDVDとして同梱されています。

 

 

 

【独房の探偵】

 

 平賀と出会う前のローレンの話。独房にいながらにして周囲の大人たちを手玉に取り思い通りに動かし、目的を達成していくまさに末恐ろしい天才少年です。

彼の元に持ち込まれた不可解な密室殺人。国家治安警察(カラビニエリ)も手を焼く何事件ですが、ローレンのような視点の持ち主には簡単すぎる事件だったようです。

この事件には、カラビニエリ特捜部のアメデオ刑事と心理学者でプロファイラーのフィオナが登場します。

両名はこの事件の二年前にローレンの助言により難事件を解決しているようです。(恐らくその事件は第16巻『二十七頭の象』事件と思われます。)

本編と短編集が絶妙にクロスしている感じが楽しいですね。

 

表紙イラストのローレンはまだあどけなさの残る顔立ちに狂気を秘めた目をしています。

これから起こる事がほぼ予想がついてしまうような天才の目にはこの世はどのように映るのでしょうか。

彼にしたらすべては起こるべくして起こり、自分は必要なときに必要な行動を取るだけ、しかも最も効率よい方法で、ということなのかもしれません。

彼もまた『ラプラスの悪魔』的な存在といえるのでしょう。

 ローレンが監獄に入ったのはある組織から持ちかけられた大きな取引への対応を考慮するための時間稼ぎであったことが冒頭で語られます。

現在逃走中なのは時間稼ぎの必要がなくなった、ということでしょうか。

とすれば次に起こるのは何か。

今後もローレンの動向から目が離せない展開となりそうです。

 

 

 

 

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