バチカン奇跡調査官2 サタンの裁き
バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。
天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。
バチカン奇跡調査官シリーズの第2作である『サタンの裁き』では、アフリカの教会を舞台に、腐らない神父の死体の謎に挑みます。
そもそも死体が腐らない、しかもアフリカのような高温・高湿度な環境でそのようなことが可能なのか、大層興味深い題材です。
調査対象の神父の死体のほかに、
到着早々アメリカ人映画監督の女性の殺人事件と遭遇したり、
ロベルト神父の身辺に悪魔のような影がちらついたり、
主要登場人物のジュリア司祭が登場し、
平賀とロベルトの関係に少しずつ変化が出てきたり、
土着宗教の呪術師が不穏な動きを見せたり
と次から次に事件が起こり、それらが少しずつ絡み合って結末へとなだれ込んでいきます。
いつもどおり、大掛かりな機材や機器を駆使し、科学的見地からアプローチする平賀と腐らない死体の主の残した数々の予言や教会に保管されていた古文書の解読からアプローチするロベルト。
好対照な二人の調査が少しずつシンクロしていく過程がとても面白かったです。
クライマックスではロベルト神父と両親の過去の事件も語られて、かなり衝撃的でした。
この2巻ではもう一人の主要人物である、ビル・サスキンスFBI捜査官も登場します。
やや世俗に疎い神父二人組みにぴったりの助手役ですね。
最終的に死体の謎は解明されますが、バチカン内部に巣くうサタニスト(悪魔主義者)の存在を匂わせてのラストとなります。
闇は深く、物語はまだまだ続く―――ということでしょうか。
今回、少し気になったのは
冒頭死体で発見されるアメリカ人映画監督(カメラマンとも語られていますが)エイミー・ボネスですが、死後数日ということですが、妊娠していて、臨月だったようです。
彼女はいつから行方不明になっていたのか。
後半の記述では監禁されて妊娠させられたようになっていますが、そうすると1年近く監禁されていたように思えるのですが、死体発見時のいろいろな人の言葉では、行方不明になったのはそんなに前ではないように感じました。
私がきちんと読み取れていないだけかもしれませんが。
電子書籍版:
コミック版も出ているようです。
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