バチカン奇跡調査官4 千年王国のしらべ
バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。
天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。
バチカン奇跡調査官シリーズの第4作である『千年王国のしらべ』では、死後復活した司祭の謎に挑みます。
(以下、若干のネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)
ルノア共和国アルペン自治区にあるラプロ・ホラ教会の司祭、アントニウス十四世司祭が狙撃され死後3日目に蘇ったという事実により、イエズス会総長からアントニウス司祭の列聖の申請があり、例によって平賀とロベルトが調査に赴くことに。
現地の空港に着いた二人を出迎えたのは二人の神父と村のカソリック会の面々、六十歳は超えたと思われる男女5人だった。そして教会に着いて目撃したのは、川の水面を渡るアントニウス司祭の姿。その背後では太陽が三つになるという超常現象も現れて・・・
アントニウス司祭の狙撃事件を追ってサスキンス捜査官も登場し捜査が続く中、教会の神父の一人が非業の死を遂げる。さらに宗教討論会でアントニウス司祭の怒りを買った、ムスリムの宗教指導者が死亡するという事件も発生する。
また、平賀がサタニストグループに誘拐され毒ガスを浴びせられ、瀕死状態になってしまう。平賀を死の淵から救ってくれたのはアントニウス司祭だった。
果たしてアントニウス司祭は列聖にふさわしい聖人なのか・・・
今回はどちらかというと叙述ミステリ的な展開でした。
真犯人も本当に意外な人物で。存在の痕跡を跡形もなく消し去って行方をくらましたこの人物も、ジュリア司祭のように、今後再登場するかもしれませんね。
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バチカン奇跡調査官 人物ファイル(第3巻登場人物)
バチカン奇跡調査官シリーズの登場人物についてまとめてみようと思います。少しずつ書き足しながら更新していく予定です。(ネタバレ要素がありますので、未読了の方はご注意ください)
今回は第3巻:「闇の黄金」の登場人物
イタリア・トスカーナ地方のセント・エリギウス教会で起きた奇跡の再調査に赴いた平賀・ロベルトの二人は、FBIのサスキンス捜査官らとともに、ガルドゥネの巨大な闇の片鱗にふれることに。
【トロネス・アントーニオ・ベニンワンビ司祭】
セント・エリギウス教会の司祭。今回の奇跡申請にはなぜか消極的。教会でアルビノの少年が殺害された夜に失踪し、後日凍死体となって、遠方の町の牛舎で発見される。
32年前の首切り道化師の事件の関係者でもある。30年前に私財を寄付して聖職者となる。
【アブラハム神父、ヨブ神父、エヘミア神父】
セント・エリギウス教会の神父。
【セルジョ・ズッポリ刑事】
イタリア警察の刑事。
【アンナ・ベニンワンビ】
モンテ村の住人。トロネス司祭は従兄弟にあたる。三十二年前の事件についてロベルトに教えてくれる。
【アンナ・ゼッティ】
首切り道化師に殺されたカルロスの母。事件当時撮影されたフィルムを保管していた。
【プッチーノ・ゼッティ】
テレーザの父。カルロの家とは遠縁に当たる。
【ジュワンニ・バフィ捜査官】
イタリア秘密警察の捜査官。
【カルロ・ゼッティ】
32年前、ビデオ撮影のため森に入り首切り道化師に殺害された若者。
【テレーゼ・ゼッティ】
32年前、森に入った4人組の一人でカルロの恋人。後にアントーニオと婚約したが結婚式の前日、落雷により死亡している。
【ドメニカ】
32年前、森に入った4人組の一人でアントーニオの恋人。もともと情緒不安定だったが、事件後精神を病み家にこもる生活を続けている。
【ロドリゲス・ダ・ビンチ】
カルロの悪友でチンピラ。カルロの死後テレーザに付きまとっていたらしい。5年前に交通事故死している。
【フィオリータ・コードウェル】
ロドリゲスの同棲相手。
【ジェファーニ】
リヴォルノで畜産業を営んでいる。牛小屋でトロネス司祭の凍死体を発見する。
【タバニーノ】
線と・エリギウス教会の地下に閉じ込められたアルビノの青年。
【カンブリアーノ】
アルビノの少年。脱走しようとして教会内で殺害された。
【クロック】
アルビノの一族の長老。
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過去記事:
バチカン奇跡調査官3 闇の黄金
バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。
天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。
バチカン奇跡調査官シリーズの第3作である『闇の黄金』では、イタリア・トスカーナ地方の教会を舞台に、角笛と虹色の光の謎に挑みます。
(以下、ネタバレがありますので、未読了の方はご注意ください。)
冒頭、首切り道化師の伝説のある村で、撮影クルーの4人の若者が首切り道化師に襲われるシーンがあります。4人の中心的存在のカルロが襲われる場面はかなりホラー色が強くて、結構怖いです。
一方、平賀とロベルトはまだら模様の道化師のイラストと9桁の数字の雑誌広告について話し合っているところにサウロ大司教から呼び出しを受けて、トスカーナ地方のモンテ村にあるセント・エルギウス教会へ奇跡調査の再調査に向かうことに。
毎日朝のミサの時間になると、どこからともなく 角笛が鳴り響き虹色の光で満たされ、キリスト像が生きているかのような色に変化するが、記録映像には映っていない、という奇跡。しかもその教会のトロネス司祭は奇跡の申請に反対しているらしい。
早速奇跡を体験する二人だが、二人が見た奇跡の光の広がり方は少し違っていた。
教会内で発見されたアルビノの少年の死体や、トロネス神父の失踪など、不可解な事件が続き、平賀とロベルトはサスキンス捜査官らとともに、民謡の歌詞を頼りにかつて首切り道化師の現れた森の捜査に赴く・・・
これまではどちらかというと座学的な謎解きがメインでしたが、今作の民謡の歌詞の謎を解きながら森を探索しつつ敵の牙城に飛び込んでいくくだりは、冒険ものの映画を見ているようで楽しかったです。
科学的捜査には天才的な冴えを見せるのに、男女の機微となるとからっきしの平賀と、そんな彼を暖かく見守るロベルトのコンビにも思わずクスリとさせられました。
そして、やっぱりというべきか、ラスボスはあの方でした。
ガルドゥネという組織は想像以上に根が深く大掛かりなもののようですね。当面は二人の神父対ガルドゥネの構図が続きそうです。
それにしても、首切り道化師事件の顛末では、ドメニカが哀れでなりませんでした。アントーニオひどすぎ・・・。しかも聖職についた後も悪のお先棒担ぎ。彼の最後はまさに自業自得でしたね。
3巻の表紙はジュリア司祭。本当に秀麗な容姿ですね。ゴールドがとてもお似合いです。
電子書籍版:
コミック版も出ているようですが、中古のみのようです。
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バチカン奇跡調査官 人物ファイル(第2巻登場人物)
バチカン奇跡調査官シリーズの登場人物についてまとめてみようと思います。少しずつ書き足しながら更新していく予定です。(ネタバレ要素がありますので、未読了の方はご注意ください)
今回は第2巻:「サタンの裁き」の登場人物
アフリカ・ソフマ共和国のセント・カルメル教会の神父、ヨハネ・ジョーダンの死体が死後1年半後も腐らないという現象の奇跡認定調査を主題に、今回も土着宗教や悪魔主義、秘密結社の暗躍等盛りだくさんな事件が次から次に発生し、意外などんでん返しもあり、飽きさせない展開となっています。
【ヨハネ・ジョーダン】
セント・カルメル教会の神父。もともとは記憶喪失で倒れていたところをジュリア司祭に救助され、神父となる。数多くの予言詩を残し、ことごとくが的中したとして、預言者として人々からあがめられている。その死体が死後1年半後も腐ることなく、まるで生きているような状態のため、列聖の許可申請が信者から上げられている。
【ワクガイ】
平賀とロベルトを空港まで出迎えた教会の使者。
【エイミー・ボネス】
アメリカ人の映画監督・カメラマン。1年前からドキュメンタリー取材にソフマ共和国に来ていたが殺害され、呪術的な儀式により鳥葬にされた姿で発見される。
遺体の様子から臨月であったことが伺えるが、胎児は発見されなかった。
口に石を入れられていたことから、何かの口止めのため殺害されたのではないかと推察される。
後に心臓が切り取られ、子宮を胎児ごと取り出されていたことが判明する。
【サムソン神父】
セント・カルメル教会の神父。際立って大男。病気の母のため教会には住まず、自宅から通っている。洞窟内の土着宗教の祭壇の前で死体で発見される。
【ヨシュア神父】
セント・カルメル教会の神父。
【キッド・ゴールドマン】
自称・予言研究家。ヨハネの残した予言詩を所持していてロベルトに提示する。元はユダヤ教徒だったがヨハネに出会い、カソリックに改宗している。実は予言詐欺師。
【ペテロ、ヨブ、エリノア、サミュエル神父】
セント・カルメル教会の神父達。
【オリオラ】
セント・カルメル教会の雑用人。料理や掃除を担当する。黒人で首の後ろに大きな瘤があり、片目が半分つぶれた不気味な容姿をしている。悪魔に使える祈禱師との噂がある。
【カルル・ビトセニ】
土着宗教・バズーナ教の司祭。五十代。
【ブルーノ・プッチーニ】
ロベルトの父。売れない画家で酒乱。
【ナオミ・プッチーニ】
ロベルトの母。
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過去記事:
バチカン奇跡調査官2 サタンの裁き
バチカン内の『聖徒の座』に所属する神父、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスは奇跡調査官として世界中の奇跡の真偽を調査判別するために日夜取り組んでいる。
天才科学者の平賀は研究調査に没頭すると寝食を忘れて熱中してしまう上にかなりの天然であり、暗号や古文書解読のエキスパートであるロベルトは平賀のよき相棒として、時に平賀をやさしく見守る保護者的存在として、数々の怪現象に取り組み、鮮やかに解きほぐしていく。
バチカン奇跡調査官シリーズの第2作である『サタンの裁き』では、アフリカの教会を舞台に、腐らない神父の死体の謎に挑みます。
そもそも死体が腐らない、しかもアフリカのような高温・高湿度な環境でそのようなことが可能なのか、大層興味深い題材です。
調査対象の神父の死体のほかに、
到着早々アメリカ人映画監督の女性の殺人事件と遭遇したり、
ロベルト神父の身辺に悪魔のような影がちらついたり、
主要登場人物のジュリア司祭が登場し、
平賀とロベルトの関係に少しずつ変化が出てきたり、
土着宗教の呪術師が不穏な動きを見せたり
と次から次に事件が起こり、それらが少しずつ絡み合って結末へとなだれ込んでいきます。
いつもどおり、大掛かりな機材や機器を駆使し、科学的見地からアプローチする平賀と腐らない死体の主の残した数々の予言や教会に保管されていた古文書の解読からアプローチするロベルト。
好対照な二人の調査が少しずつシンクロしていく過程がとても面白かったです。
クライマックスではロベルト神父と両親の過去の事件も語られて、かなり衝撃的でした。
この2巻ではもう一人の主要人物である、ビル・サスキンスFBI捜査官も登場します。
やや世俗に疎い神父二人組みにぴったりの助手役ですね。
最終的に死体の謎は解明されますが、バチカン内部に巣くうサタニスト(悪魔主義者)の存在を匂わせてのラストとなります。
闇は深く、物語はまだまだ続く―――ということでしょうか。
今回、少し気になったのは
冒頭死体で発見されるアメリカ人映画監督(カメラマンとも語られていますが)エイミー・ボネスですが、死後数日ということですが、妊娠していて、臨月だったようです。
彼女はいつから行方不明になっていたのか。
後半の記述では監禁されて妊娠させられたようになっていますが、そうすると1年近く監禁されていたように思えるのですが、死体発見時のいろいろな人の言葉では、行方不明になったのはそんなに前ではないように感じました。
私がきちんと読み取れていないだけかもしれませんが。
電子書籍版:
コミック版も出ているようです。
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